最近読んだ本(77)―― 青柳碧人『双月高校、クイズ日和』

 「高校生たちがクイズ同好会を結成した。目指すは全国高校クイズ大会」という裏表紙の一文に何気なく面白そうかなと手にした本。初めての作家の本。

 読み始めて見て、ちょっと失敗したかなと思った。いや物語は全然面白いのだが、これは主人公たちと同じ高校生くらいの年齢の若者が読む本だったのでは。ページの所々に挟まれた挿絵も、深夜に放送されているアニメのような絵で、通勤電車の中で読んでいて、横から覗き込まれた人に、「このおじさん、いい年して何読んでいるのだろう」と思われはしないかと、ちょっと気恥ずかしくもあった。物語自体もそんなアニメの原作になるような内容。しかし読み進めている内にそんな当初の印象は全く的外れであったと思い直し、どんどん引き込まれていく結果になった。

 クイズ同好会を立ち上げようとした一人の高三男子。所属するテニス部に行き詰まりを感じていた高二の女子が、何となく興味を持ってともにクイズ同好会設立に立ち上がる。やがて演劇志向だったが、積極的にはなれずに迷っている男子生徒や、学校の問題児金髪不良少女や、学校一のプレイボーイや、内気な女子といった生徒などなど7人が集まりクイズ同好会を始める。変な感傷から横やりを入れてくる生徒会との対決などがあったり、7人の仲がぎくしゃくする事が起きたりと、全国大会を目指して悪戦苦闘していく。

 クイズで出題されるような知識を蓄積しても、それはいわゆる雑学というもので、将来何かに役立つかと言うものではないだろう。全国大会を目指してということではあるが、この本を読んでいるとそんなものはひとつの目標であり、作者からのメッセージはそんなことはどうでもいいということに読んでいて気づいていった。実際のところ作中で若者たちの目標であった全国クイズ大会のことは……、おっとこれはネタバレになるので触れずにおく。

 個性豊かに描かれた登場人物たちの言動。自分にもこれと似たようなことがあったなあ、と忘れかけていた自分の当時のことを思い出すことが再三あった。クイズであれ、スポーツであれ、何であれ、ひとつのことに熱中して、目標に向かって行く。そしてそこには素晴らしき仲間がいる。きらきらした青春時代。ああ、自分にもこんな時代はあったんだなあ、と懐かしさが溢れてくる小説だった。青春時代が夢なんて、あとからしみじみ思うもの、という歌があったが、その通りだ。

 青春真っ盛りの若者が読めば、また違った印象を持つであろうが、私のようなおじさんにとっては夢のような青春時代を思い出させてくれた一冊だった。



双月高校、クイズ日和 (講談社文庫)
講談社
2013-01-16
青柳 碧人

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