最近読んだ本(70)――池井戸潤『鉄の骨』

 初めて池井戸潤氏の小説を読んだ。氏の作品はあの「半沢直樹」に始まり数々テレビドラマ化されているので名前だけは知っているという程度だったが、この『鉄の骨』読んで、長らく東野圭吾氏にハマっている私だが、新たにハマることになる作家ができた気がした。

 話は、中堅ゼネコンの建築現場で働いてきた主人公の富島平太という青年が本社の業務課というところに配属されるところから始まる。業務課というところは、大口公共事業の受注部署で、「談合課」と揶揄されている部署だった。

 違法な談合に加われなければ会社としても生き残れないと言われても、それに加わることが正しいのかと疑問を持ったまま平太は、その波の中に引き摺り混まれて行く。企業と企業。人間と人間の織りなすドラマが見事に展開されていく話にどんどん私は引き摺り混まれて行った。

 企業の存続を掛ける大きな受注を取れるかどうかという話と平行に、付き合っていた恋人と離れて行きそうになる話が割り込み、そちらにも私の心は揺さぶられた。彼女を始め脇を固める登場人物が実に味わいよく描かれている。平太の母親も大きな存在であり、また恋敵の男性の母親なんか、ほんの少ししか登場しないのに、その印象が後々まで残ってしまった。

 現在、池井戸氏の直木賞獲得の作品『下町ロケット』がドラマ化されて放送中であるが、何本もドラマ化されているのは、氏の作品がエンターテイメントとして優れている証であろう。先に述べたように、氏の作品をもういくつか読み続けることになるであろうと自分自身で予想された今回の本だった。




鉄の骨 (講談社文庫)
講談社
2011-11-15
池井戸 潤

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