最近読んだ本(89)――山本巧次『阪堺電車177号の追憶』

 いい本に出会った、と言うのが読後の印象でした。阪堺電車(はんかいでんしゃ)は、大阪市南部と大阪市に隣接する堺市とを結んでいて、いわゆるチンチン電車です。私自身思い入れもある阪堺電車が題名に入っていたのですから、これはもう読みたいと思ったのが自然でしたね。

 本作は阪堺電車177号の独り言という体裁で、各短編が構成されています。この話の主人公(?)となっている161型電車(177号)は、今から90年も前(1928年)に製造された車両です。最近はとんとご無沙汰していますが、かつて私も乗ったことがあるはずです。もっともその頃は車両の型番までは気に留めていませんでしたがね。阪堺電車には最新型バリアフリーの超低床式のLRT電車も走っていますが、161型電車は今日も現役で走っているのじゃないかな。

 話は平成29年のプロローグに始まり、本編は昭和初期から平成24年までの6つのエピエソード、そして再び平成29年のエピローグという構成になっています。177号に乗り合わせた人のどこにでもありそうな話で綴られた各短編はそれぞれ独立した話ですが、全体を通しての伏線があり、見事に後々の話に繋がっています。よく練られた作品だと感心しました。ほのぼのとした話あり、痛快な話あり、人情味溢れる話あり、ミステリーっぽい話ありと全く飽きさせない話が続きます。

 作者の山本巧次氏を全く存じていませんが、カバーの裏に和歌山県出身と紹介されていました。しかし大阪南部の空気感が素晴らしく表現されているのを読んでいて、きっと山本氏はこの辺りにお住まいの経験があるのではと思いました。

 ひとつひとつの話には読者をアッと思わせるようなオチも用意されており、そこへ行くまでの話の持って行き方も見事でした。特に第4章の昭和45年(まさにこの時期は私が高校通いで毎日阪堺電車に乗っていた頃です)の話では全く想像すらできなかった結末であり、胸が熱くなりました。

 これはもう是非関西出身の役者を集めてドラマか映画か映像化すべきですね。どこかやってくれないでしょうかねえ。

 阪堺電車に馴染みのない方にはピンと来ないかも知れませんが、この本を読むときっと阪堺電車に乗ってみたくなるのじゃないでしょうか。

 最後に手前味噌になりますが、私自身のメインホームページに思い出などを綴った阪堺電車のページがありますので興味がおありの方は是非見てやって下さい。本書ほど感動は全くありませんが。(^^ゞ

 ページはこちら
 http://www2d.biglobe.ne.jp/~takashi/photo/photo_h/h_top.html





阪堺電車177号の追憶 (ハヤカワ文庫JA)
早川書房
山本巧次

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この記事へのコメント

2018年02月28日 00:59
読んでみたい!と図書館で予約しました。15番目でした。人気の本なのですね^^
ゲコゲコ
2018年03月01日 18:35
>ぴよ さん
うん、なかかな良い話でしたよ。
お読みになったら、是非感想など聞かせてください。
虻蜂
2018年03月03日 11:58
クリックしちゃった。今夜からお酒のお供にします、ありがとうございました。
ゲコゲコ
2018年03月03日 17:11
>虻蜂 さん
コメントありがとうございます。
お酒のお供でも、何でもやってやって下さい。(^。-)-☆

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