最近読んだ本(88)――池井戸潤『架空通貨』

 池井戸潤氏の初期の作品。読み応えは十分ありました。ただ氏の初期の作品ということもあるのか、他と比べて痛快さには欠ける印象でした。

 「架空通貨」とは長野県の山間部の町にある企業が発行する振興券で、通常の紙幣と同じようにその町では流通していたのでした。その企業は亜鉛加工業で、まさに町が亜鉛に染められたように「黒い町」となってしまったかのように、一企業の横暴、脅迫、権力で無理やり流通させられているような状況でした。

 その町にかつて商社マンだった高校教師の辛島が、教え子の父が経営する会社が破綻した真相を確かめるべく乗り込んで来るところから物語は進んで行きます。

 緻密に練られたストーリー展開には感心させられるものの、一高校教師が生徒を心配するあまりのこととは言え、何故そこまでするのかという思いがしないでもなかったです。それに元銀行マンの氏の作品に多いことですが、普段見慣れない専門用語も多く、金融などには疎い私には取っつきにくいところもありました。

 氏の作品は弱い者が強い者に負けずに頑張るというのが多いです。そして強い者がやり込められる痛快さもあり、そういうところが面白くてここ数年時々読んでいます。今作もそういうところを期待したのですが、ちょっとがっかりした読後感でした。




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