最近読んだ本(84)――東野圭吾『パラドックス13(サーティーン)』

 久しぶりに東野圭吾氏の小説を読みました。今作は、SF小説と言ってもいい小説でした。東野氏は時にSFめいた小説を出しています。

 3月13日の13時13分13秒、突然街から人が消えてしまいます。いや老若男女13人は残りました。電気も通らなくなり、食料も尽きかけて来た東京の街に地震と暴風雨が襲ってきます。生き抜こうとする13人の運命は? そして何故13人だけが残ったのか? というのが物語の大筋。

 東野氏の小説は読みやすく、次々と展開する物語に吸い込まれて行きます。今作も、荒唐無稽なストーリーの中にあって、人物配置が上手く、それぞれの感情も織り込まれ、さすが東野氏です。

 しかしながら、私の印象でしかありませんが、今作のような話は昔よく読んだ小松左京氏や半村良氏の小説の方が面白いです。氏はSF作家ではないので、こういった作品はおやめになったほうがよろしいのでは。

 東野氏は売れっ子作家になり、粗製乱造と言っては言い過ぎですが、何だか読み終わって良かったという作品がこのところ減って来たのではないでしょうか。氏の作品を数多く読んで来て、私の目が肥えたのか、最近は物足らないものが目立ちます。面白かったと思えるものが、5本に1本くらいかな。打率2割ではレギュラーから外されますね。以前は『白夜行』のような満塁本塁打並の作品もあったのに、ファンとしては寂しいです。

 読み応えのある持った大長編物や読者にちょっと気づかれないような伏線を置いて、後でアッと言わせるような話や、刑事加賀恭一郎が出てくる人情味溢れた作品や、ガリレオこと湯川学シリーズのようなこれまでにないトリックを用いた謎解き物や、あるいは初期の作品『浪速少年探偵団』のような軽いタッチでありながら、人物が生き生きとしている物語などを読みたいものです。


パラドックス13 (講談社文庫)
講談社
2014-05-15
東野 圭吾

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