最近読んだ本(78)―― 池井戸潤『果つる底なき』

 最近ファンになりつつある池井戸潤氏の作品。氏の作品は3冊目である。今作は江戸川乱歩賞を受賞した氏のいわばデビュー作と言ってもいい作品である。

 主人公は銀行員の伊木。同僚の坂本が顧客への訪問途中の車の中でぐったりとしているところを発見されて救急車で病院へ搬送される。しかし坂本の容体は回復することなく妻と幼い子供を残して死んでしまう。死因は蜂に刺されたことによるアナフィラキシーショックだった。

 単なる事故とも思えない点もあり警察が捜査に乗り出す。実は坂本の妻は伊木の元恋人だった。そんなことで刑事は伊木にも疑いを掛けてくる。坂本が何故死ななければならなかったのか、伊木は自分で調べて行く。坂本のため、かつての恋人だった人のため、さらには自分のために。そして、伊木は坂本がある不正融資に関する資料を残していたことを見つける。伊木は徐々に事件の真相に近づいて行くのである。

 池井戸氏は元銀行員だったことは既知の通りで、今作も銀行内の事情が事細かに描かれている。銀行業務には疎い私にはちょっとピンと来ない所もあり、いつも小説を読んでいてどっぷりとその世界に浸かってしまいがちな私だが、今回はそれほどでもなく、ちょっと取っつき難く感じたのが残念だった。

 さらに、少々ネタバレになってしまうが、人が死にすぎではないかと思ってしまった。犯人の犯行動機からすれば、それほど何人も人を殺すほどのことだったのだろうか。何しろ、物語の登場人物とは何の関係のない人まで死んでしまったのには些か閉口した。

 しかしながら、物語は江戸川乱歩賞受賞作に恥じなく、絡まりあった事件の謎を研ぎほぐしていく展開は面白く、読み進めて行く内にパズルのピースが一つ一つはまって行き、そのはまった時の爽快感もあるし、クライマックスシーンはドキドキしたし、ラストも実に良かった。

 それにしても銀行って怖いところだ。銀行員にならなくて良かったかな? (^^)

 今作を読んで、ちょっとがっかりの部分はあったが、今後も池井戸氏の作品は読み続けることになるだろうと思わせられた作品であった。



果つる底なき (講談社文庫)
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