最近読んだ本(76)―― 東野圭吾『夢幻花』

 またも東野圭吾氏の本。ホンマに好きなんだなあ。3冊に1冊は東野氏やもんなあ。


 この作品は読み応えがあった。物語はまずプロローグとして、東京の住宅街で幼い子を残して日本刀を振り回す男に父親と母親が惨殺されるという悲惨な事件が紹介される。時は東京オリンピックの2年前というから1962年の出来事だ。それから何年か後、主人公の蒲生蒼太が入谷の朝顔市でのエピソードが語られる。


 それからさらに何年か経ち、蒼太が大学院生となった頃、あるロックバンドの青年が自殺。また色んな花を育てながら余生を送っていた老人が殺害されるという事件が起きる。この事件を巡って話が展開されて行くのだが、冒頭の過去の事件との関連は? また蒼太が朝顔市で出会ったひとりの少女との関係は? 青年の自殺も関係があるのか? 題名になっている「夢幻花」の意味は? と謎が謎を呼びというストーリーである。


 もちろん関係がない事件を取り入れるはずもなく、いくつかの事件、出来事のそれぞれの関連性はやがて解ってくるのであるが、老人殺害の犯人は8割読み進んでも全く検討がつかなかった。ストリーテラーとしての東野氏の筆の成すところであるが、これまでの東野氏の作品とは、ちょっとイメージが違った。これは私個人の印象だが、途中で、「あれ? 確か東野圭吾の小説だったよな」と、妙な錯覚さえ覚えながら読んでいた。


 それぞれの登場人物の設定もしっかり描かれており、構成も文章も魅力的でさすがだった。最近の氏の作品は、正直言って些かがっかりというものと度々出会っていたから。久しぶりに良質なミステリー小説を読んだという読後感だった。




夢幻花 (PHP文芸文庫)
PHP研究所
2016-04-07
東野 圭吾

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