最近読んだ本(75)―― 機本伸司『神様のパズル』

 久しぶりにSF小説。以前、と言ってももう50年近く前の高校生の頃、SF小説ばかり読んでいたことがある。小松左京、星新一、半村良、海外物ではアシモフ等々。その後はたまーに読むくらいだった。本屋の棚で“第三回小松左京受賞作”の文字を文庫本の裏表紙に見つけて、面白そうかなと手に取った。

 どんな話かというと、留年寸前の主人公の僕がゼミの教授から不登校の女子学生の穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにと命じられるところから始まる。この穂瑞という女子学生の年はまだ16歳。飛び級で進学した天才少女。重ヒッグス粒子発見のための巨大加速器“むげん”の設計にも関わるほどの天才。私は物理も量子力学もさっぱり解らん人間だから、この作品を読んでいてちんぷんかんぷんの部分も少なくはなかった。ただ、主人公の僕も理学部の学生であるにも関わらず、あまり解っていないキャラクターに設定されていたから、安心して読み進めることはできた。

 穂瑞という少女、天才であるがゆえに大学側も持て余し気味。あるきっかけで知り合った老人の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」を穂瑞にぶつけてみたところ、彼女は大学に出て来てゼミにも現れた。そして主人公の僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないというとんでもないことになってしまう。

 ハードSFっぽいところもあり、青春小説の体をなし、話は進んで行く。途中で田植えや稲刈りをして小さく生きてきた老婆の人生などが絡んで来る。この老婆の存在がどんな意味を持つのか、それは読み進む内に心に沁みてくる。そして天才少女穂瑞が心に抱えるものは?

 ただちょっとハードSFとして読むと何か物足りなさがあり、青春小説としてはもうちょっと各キャラクターが色濃く出ればと感じた。もっともどちらも極めれば、訳のわからぬ小説になりかねないだろう。これくらいで読みやすいと言えるのかな。

 この作品、後で調べたら市原隼人主演で映画になっていた。知らなかった。主人公のイメージは私が描いたものとは異なるが、機会があれば映画の方も見てみたい。

 で、結局「宇宙は作ることはできるのか?」ということだが、そんなことは言ない。それを言っちゃあおしまいだから。


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