心の師でした 北杜夫さん

 作家の北杜夫さんが亡くなったと、今朝になってラジオで知りました。最近は氏の作品を読むことは全くといってなくなりましたが、私の本好きが始まったのは氏の本を読んだのが切っ掛けといってもいいくらいです。

 それは、高校生の時でした。それまでも漫画本以外も多少は本を読んだことがありましたが、夏休みの宿題の読書感想文を書くためにいやいやという感じでした。何故、あんな感想文なんて書かせるのでしょうかねえ。放っておいても、いずれブログなどで読書感想文めいたものを載せるようになるのに。いや逆かな。感想文を強要するような教育をされたから、ブログでそんな記事を書くようになったのでしょうか。

 ともかく、若い時は自分から進んで小説など読むことはほとんどなかったです。それが、北杜夫氏の『怪盗ジバコ』という作品を読んでから、本を読むことの楽しみを知ってしまいました。私のホームページのプロフィールにも好きな本として、その『怪盗ジバコ』は上げてあります。ユーモアとペーソスとアイロニーの入り混じった『怪盗ジバコ』の物語に魅せられてしまいましたね。ジバコのひたむきさに心打たれもしました。

 それ以降北杜夫氏の本は高校生時代から大学生にかけて随分読みました。でも、『楡家の人びと』のような文学作品より、先の『怪盗ジバコ』や『船乗りクプクプの冒険』(クプクプって何て言いにくいんや?)のようないわゆるユーモア小説の方が好きでしたね。またドクトルまんぼうシリーズのエッセイ集も好んで読んでいました。なんとも言えない氏の人柄が滲み出た柔らかいユーモア、決して大笑いはしないまでもクスクスと笑わせてくれる文章に快い気持ちが溢れ出ました。

 若い頃に氏の作品に出会わなかったら、自分でも思うのですが、自分には洒落っ気も面白味もない人間になっていたに違いありません。かなりな影響を氏から受けたのは事実です。

 こうして、ブログなどで文章を書く(実際はキーボードを叩いているのですが)のにあたっても氏の影響がないとは言えません。元々先の感想文にしても、作文にしても、文章を綴るのは大の苦手でしたから、そんな宿題を出された折には気が滅入ってしまいましたよ。それが、こんなブログ記事を上げるようになるとは、自分のことながら同一人物だとは思えませんね。ま、文章はいつまで経っても拙いし、全くもって人が読んで快い印象なんて持てないだろうとは思いますが……。

 また、氏は大の阪神ガイガースファンでありました。その点も北杜夫という人が好きになった要因です。阪神タイガースファンであることの楽しいエッセイも読んだことがあります。

 もう亡くなられて10数年経ちますが、狐狸庵こと遠藤周作氏とは終生のご友人であられました。ふたりのやりとりは、多くのエッセイ(北氏のものにも、遠藤氏のものにも)に度々出てきます。きっと今雲の上でおふたりが再会され、愉快な会話を楽しんでおられることだと思います。

 私はただの北杜夫ファンでしかなかったのですが、もしできることなら、大それただことを言うのをお許し願えるなら、一度お会いして話をしてみたかったです。絶対に楽しい話を聞けたに違いないでしょう。

 近いうちに実家の押し入れから氏の本を探しだして、また読んでみるとします。

 北杜夫さん。ご冥福をお祈りいたします。


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この記事へのコメント

ぴよ
2011年10月30日 23:28
『船乗りクプクプの冒険』!・・・ああ、なんて懐かしい響き!

私も高校生の頃、大好きでした。
どくとるマンボウ・・・も北氏でしたよね。

つい先日、尊敬する児童文学作家の中川正文氏もお亡くなりになり、
偉大な作家さんが 次々とお亡くなりになり、悲しいです。

でも、作品が残り、ずっとずっと読み継がれていくのはすごいことですね。
ご冥福をお祈りします。

ユーモアとペーソスとアイロニー、
私はゲコゲコさんの作品にも感じますよ。
ゲコゲコ
2011年10月31日 00:00
>ぴよ さん
>ユーモアとペーソスとアイロニー、私はゲコゲコさんの作品にも感じますよ。

あらら、そう言っていただけるとは光栄です。私は、北杜夫さんと、星新一さんの影響をかなり受けていると自分でも感じています。
星さんも亡くなりました。
昭和の偉大な作家でした。
時代は変わり、また新しい素晴らしい作家さんが出てくることでしょう。
でも、もう私もそんな新しい方々には影響受けないでしょうね。
そういうものって、若い時に感銘を受けたりして自分の中に残るものでしょうから、年をとってしまうとね・・・。

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