高校2年の夏休みの思い出(3)

 国鉄(当時はまだJRでなかった)の大阪駅で一晩過ごすことになった私たち4人の高校2年生。家には一応電話で連絡しておいた。そんなところで一晩過ごして大丈夫なのかとも思われたが、物騒さを感じることはなかったし、私の親も「あ、そう」とひとことだけで、さほど心配している様子でもなかった。良い時代だったのだろうか?


 N井くんが言っていた特急列車の発車時刻は朝の遅い時刻だったので相当待つことになるのと、特急料金の節約のため早朝の急行列車で目的地まで行くことにした。ともかくその列車が出るまで、時間を潰さなければならなかった。

 現在では、深夜にプラットホームへ入ることが出来るのかどうかは知らないが、その時の私たちは普通に入ることが出来た。深夜に東京から九州方面へ向かう寝台特急、いわゆるブルートレインが大阪駅に止まることもあったし、その関係で深夜にプラットホームをうろついていても、駅員にもだれにも咎められなかった。

 で、そのブルートレインのこと・・・・・・。

 深夜1時を過ぎた頃だったか、もう2時に近かったか、ともかく私とN井くんとM野くんは、ベンチに座ってだべっていた。O橋くんはちょっと離れたベンチで熟睡中だった。よくもまあ、こんなところでぐっすり眠れるものだというくらい、すやすや顔で眠っていた。真夏のことで、全然寒くはなかったのが幸いだった。――いやいや、ブルートレインのことだ。

 先日“(1)”の章で触れたが、N井くんは鉄道マニアだった。睡眠中のO橋くんを除け者にして、たわいのないことばかり話していた私たち三人であったが、それまでの話の内容とは何の脈絡もなく、急にN井くんが、
「もうすぐ『あさかぜ』が着くで。えーっと、○番線やったから、ことと違う。あっちへ移動しようぜ!」と言い出した。

 N井くんの提案に反対する理由もなく、私たちは『あさかぜ』が着くホームに移動することになった。何より気持ちよく眠っていたところを起こされたO橋くんは、かなりの迷惑のようだった。私に待ちぼうけを食わされても文句ひとつ言わなかったのに、隣のホームへ行くために階段を昇り降りする間、かなりブツブツ言っていた。

 鉄道マニアの人にとって、ブルートレインは憧れというか、格別のものがあるようだ。ひょっとしたら、N井くん。そのブルートレイン見たさに、大阪駅にまで付いて行くと言い出したのかも知れない。N井くんにとっては、深夜の大阪駅のホームにすべり込んで来るブルートレインを見るのに、またとない機会であったはずだ。

 やがて、電気機関車にひっぱられたブルートレインがホームに入ってきた。N井くんはいささか興奮気味だった。私は実際にブルートレインを見たのは、その時が初めてであったが、N井くんほどの興奮はなかった。M野くんも、あまり興味なさそうであったし、O橋くんにいたっては、またベンチに横になっていた。

 停車したブルートレインであったが、ドアが開かなかった。お客さんが降りられないのでは、とN井くんに尋ねると、
「運転停車やさかい。乗客の乗り降りはなしや」と言った。
「運転停車? なんやそれ?」と、M野くんと私。
「乗務員の交代などのためだけに停車することや。昔のSLの頃やったら、燃料の補給のための停車とかや」

 ふーん、とあまり理解できない私たちにN井くんは付け加えた。
「だいたい、こんな夜中やで。降りるお客さんもおらへんやろ。降りたところで、家に帰られへん。反対にこんな夜中の電車に乗るために、やってくる人もおらへんやろう」

 N井くんのその説明に、私とM野くんはお互いの顔をのぞき込んだ。二人とも、
「じゃあ、俺たちは何なのだ?」と、言いたかったのだ。

 運転停車が終わり、去って行くブルートレインのテールランプを見つめているN井くんの横顔は、実に満足そうだった。結局、N井くんが私たちに付き合うと言っていたはずだったのに、私たちがN井くんに付き合ったような、夜中の大阪駅だった。

 とうとう一睡もすることなしに朝を迎え、予定通り急行列車に乗った。N井くんは、地下鉄の始発電車が動き出す時間に、さすがに眠そうな顔で帰って行った。もちろん、私たちにとっても眠い朝だった。いや、O橋くんだけはそんなに眠くはなかったかも。

 この急行列車で目的地へ向かう、その途中で、4月20日の記事でお話したうるさいおばちゃんたちが乗って来たのです。
 そして、その日の正午過ぎに目的地の兵庫県竹野というところへ着きました。民宿へ一旦立ち寄って、早速海水浴場へ行きました。
 滞在中、ずっと海は穏やかだったし、天気も崩れることはなかったです。貸しボートで相当沖まで行ったり、モリでさかなを捕ろうとしたり(一匹もとれませんでしたが)、夜は浜辺でお決まりの花火。思う存分遊びました。
 そのひとつひとつ細かく話しているとキリがないです。ただひとつだけエピソードを語らせていただこうと思います。
      ――ということで、まだまだ続きます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ぴよ
2006年08月07日 00:23
まだまだですね!
あと5話くらいは いけそうですか??
何だか連続小説を読んでるような気分になってきました・・・・(^^)!
ゲコゲコ
2006年08月07日 10:53
いつもすみませんねえ。
だらだらした話なのに、読んで頂いて、ありがとうございます。

この記事へのトラックバック