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zoom RSS 最近読んだ本(86)――五十嵐貴久『1985年の奇跡』

<<   作成日時 : 2017/12/13 22:39   >>

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 この本のタイトルが本屋さんの棚で目に入った瞬間手に取ってレジに並んでいました。なぜかと言うまでもないですね。ちょっと古い阪神タイガースファンの方ならおわかりでしょう。

 と言ってもこの作品、2度ほどタイガースの事にちらっとは触れられた場面もありましたが、話の本筋には全くタイガースには関わりがなかったです。

 1985年。主人公の僕(岡村浩司)は、都立小金井公園高校の2年生で野球部のキャプテン。しかし弱小の野球部で創部以来試合に勝ったことは皆無。それどこか部員に練習する気もない。おニャン子クラブの誰が一番可愛いかと部室で揉めているだけのクラブでした。主人公の岡村もじゃんけんで負けたからキャプテンを引き受けさせられたくらいでした。

 だいたい学校自体がクラブ活動に消極的。いやそれ以上勉強の邪魔になるだけというのが校長の考え。校則も細かいところまで厳しく決められており、友達同士遊びに行くことも、学校に許可を取らなければならない。校長自ら街中をパトロールして、たむろしているところを見つかったりしたら、停学処分になりかねない。そんな校長は事があれば野球部を廃部に追いやろうと企んでいるような人でした。

 そんな学校に沢渡という生徒が転校して来ます。彼は中学野球時代からのスーパースター。転向前の学校も野球の強豪校。彼が野球部に入ってそのワンマンぶりで試合に勝ちだしたのです。なぜそんな沢渡がこんな学校に転校してきたのか。そこには理由があったのです。そしてその理由で野球部の運命も左右されることに……。

 概ね楽しい作品でした。作者の軽快な語り口でくすりとするシーンが何度もありました。そして最後に涙。いやさすがに涙はこぼさなかったですが、じーんとさせられました。本書は青春小説です。青春時代は後からほのぼの思うものなのですね。自分にもほろ苦くも楽しいこんな時代があったなあと思い出も溢れて来て、ちょっと若返った気分になりました。



1985年の奇跡 (双葉文庫)
双葉社
五十嵐 貴久

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